6月21日に写真家の広川泰士さんが
トークゲストに来てくださいました。
纐纈監督との対談の様子をご紹介します。
纐纈は祝島ではじめて毎日海を目にする生活をした経験をふまえて
「海っていうのは、いろんなものを持ってきてくれるものだと思う。
食べ物が得られる、というのはもちろん、
神舞も海からやってくる。
いいニュースも、海を渡ってやってくる。そういう風に感じた。
本来、島国に住む日本人はそういう海の役割をよく知っていたのではないかと思う。」
と語りました。
そして、広川さんは映画の中に出てくる棚田に触れ、
「あの棚田は本当にすごい。
有名人でもなく、歴史に残るような人でもない普通の人が
ああいう偉業を成し遂げている」
と驚きの声をあげていました。
棚田を作っているのは岩。
もともと、江戸時代くらいまで「岩見島」とも呼ばれていた祝島。
そんな石や岩の多い祝島での撮影を振り返り纐纈は、
「石や岩は不思議。
時間の記憶を持っているように思う。
棚田を見ていると、それを作った30年だけでなく
それ以上の時間を感じる。
まるでタイムスリップするよう。」
と話しました。
そして広川さんは
「この映画が伝えていることは
自分たちが受け継いできたものを、次の世代へ繋げる。
それに尽きる。」
と。
纐纈も
「ほんとうにそう。
インタビューをしていても、共通して感じるのは
すでに亡くなった人の思いを受け継いで
これからの人達のために繋げようという思い。
そのときその場だけ、でなく
過去、未来を考えて、今を選択している。」
と話しました。
そして広川さんは
「昔の人は、それを普通にやっていたんだよね。」
とおっしゃいました。
纐纈は、原発に反対している祝島の漁師さんについて触れて、
「祝島の人の漁師さんが元気なのは、
漁師である誇りを売らないから。
保証金を受け取らず、海を売らずにいるのは
自分たちの誇りを売らないということだと思う。」
と話します。
これを受けて広川さんは
「そもそも、私物化しているのがおかしい。
お金で売れるようなものではない。」
とおっしゃいました。
最後に、纐纈は
「原発に、賛成/反対というのはもちろんあるけれども、
そうなるとその次元の話しかできない。
でも、本当に向かいたいところ、
祝島の人を見ていて
一番大切で伝えたいことは、そういうことではないと思う。」
と話し、
広川さんも
「島の人たちのしていることはもっと大きなことだ。」
とおっしゃいました。
写真と映像。
それぞれ手法は違うものの、
原発のある場所、その予定地を撮ったおふたりには
共感できるところが多くあったようでした。
***
次回は、
6月25日(金)12:30の回上映後
土本基子さん(映画同人シネ・アソシエ)をお迎えし、
纐纈あや監督、本橋成一プロデューサーとの対談となります。
お時間に都合のつく方は
是非お越し下さい!
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